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           メール・マガジン

      「FNサービス 問題解決おたすけマン」

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    ★第171号       ’03−03−28★

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      責任的危機感    

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●国の内外に

 

<問題>が渦巻いて、みんな不安。 <識者>はしたり顔で説を唱える

が、それで何かが変わるとか、この国が良い方へ向かうとは見えず、、

 

昔は国や会社、あるいは一家に何かあれば迷わず結束し、それが行動に

表われたものでしたが、今は<一億総評論家>、言多く行ない少なし。

 

一種の平和ボケ、言い換えれば危機ボケ。 だが、行動なしの悲観論は

ただの愚痴。 オトコはコボさないもの、だったんですがね、、

 

 

隠居はやむを得ず傍観を決め込んでおりますが、現役時代は<唱える>

ことは必ず実行する習慣でした。 それがアタリマエと思っていました

が、ひと様の目には「あんたほど自分にキビシイ人、いないね」。

 

冗談じゃない、サーモスタットは安全・快適のための機能部品。 その

製造に携わる者、心に緩みがあってはならぬ。 先頭に立つ以上、、と

意識的に感度を高めていただけ。 積極的心配性、というか

 

 、、と綴っていたら、たまたまTVのアクション映画、組織の親分と

 悪事請負人が携帯電話でやり取りしている。

 

  (悪)やつは始末した。 邪魔はもう無い。

  (親)荷物の発送はどうだ?

  (悪)予定通り。

  (親)よし、遅れるな。

  (悪)俺は構わないけど、あんたのような立場の人にしては、少し

     ビビリ過ぎじゃないかな?

  (親)うるさい、心配するのが俺の仕事だ。 

 

 悪の世界でも、責任を負う身となれば危機感一杯で当然、、

 

*   *

 

「より良くしたい」や「良い状況を保ちたい」で、何についても「ああ

したら」や「こうせねば」が思い浮かび、さらに色々<する、させる>。

早く気付くべきだった、と悔やんだり、急がなくちゃ、と焦ったり、、 

 

だから製品が<良い>と誉められても、嬉しがるどころか疑いたくなる。

何と比べて? どこが? どう? 確かめなくちゃ、、 で、たとえば、

 

UL▼に試験を申請し、国内先輩各社を尻目に認証を獲得。 その程度

には<良い>んだな、、と漸く安心したり、しかし、それが楽勝だった

のでかえって心配になったり、で、

 

 ▼ Underwriters' Laboratories, Inc. 損害保険会社の共同出資で

  運営されている安全試験機関。 アメリカでは<ULに認められた

  商品でないと保険の対象にされない>ほどの権威。

 

さらなる安心のため、よりキビシイ独自の試験方法を開発したり、その

方法で他社品も<試験>したり。 ついには、こう小心なリーダーでは

社員を幸せに出来ないのではないか、とF先生を訪ねて診断を仰いだり。

 

するとF先生、「不安感? 素晴らしい! それが無きゃ<過剰適応>、

人間としては<荒廃>。 リーダーには不可欠です」。 やれやれ、、

 

*   *   *

 

昔は「治にいて乱を忘れず」とか「勝って兜の緒を締めよ」、気の緩み

を戒めたものでしたが、<追い付け、追い越せ>がやや現実になった時

には我が民族、すっかり<忘れ>てしまっていて<締め>ず、

 

以来転落の一途、今や危機的状況。 しかし政治、経済、教育、言論、、

あらゆる分野、特に上部、口ではともかく行動は何十年一日の旧態依然。

変えたい、変わりたい、と願っていないも同然、いや、いないこと歴然。

 

それは彼らが<現状>に十分以上、即ち<過剰>に、<適応>している

ことの証明。 彼らの<荒廃>ぶりは、続発する<不祥事>が物語る。

 

その職に在りながら責務の認識が無い(かのよう)、即ち責任感の欠如。

そのため、危機感、不安感を抱いている者なら決してしない、あるいは

出来ない、ようなことを敢えてするし、かつ、して恥じない。 

 

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●たしか陳舜臣の

 

<日本人と中国人>に、「日本人は悲観的なことを言うが、することを

見ると甚だ楽観的。 中国人の言うことは楽観的だが、行動ぶりは最も

悲観的な人のそれだ」とありました。 愚痴っぽいんだな、日本人は。

 

  打つべき手を黙って打ち、あとは陽気に過ごす、、のが中国人、か。

  かの地には血液B型が多いそうだが、私のBもそこがルーツかな?

 

じゃ、中国人がキビシイことを言う時は本当にキビシイことをするんで

しょうな、、 2月23日のNHKスペシャル<地球市場・富の攻防>

第2回、<メードインチャイナ・中国の戦略>はその一例でした。

 

 

<世界の工場>たるに止まらず海外に<打って出る>、即ち<走出去>

の大号令。 低価格高品質を武器に新興市場(中東、中南米、アフリカ)

で日本製、欧州製に割り込む国家戦略。

 

昨年2月、アラブ首長国連邦に中国政府海外初の常設商品展示場を建て、

家電、自動車、工作機械、繊維製品 あらゆる分野600社1500人

の中国ビジネスマンが大挙出張。  

 

その先頭に立つのは対外貿易経済協力省次官。 往年<悪名>を馳せた

我が通産省も、そこまではサービスしなかったんじゃ? 当然、戦果は

赫々、5日間の見本市で560億円の成約。

 

*   *

 

その一方、「中国製品はモンスター、世界を覆い尽くす暗い影」と悲鳴

を挙げているのがメキシコ。 90年代は低コスト労働の本命だったが、

今や<マキラドーラの大脱出>、工場閉鎖続々で失業者の<量産>。 

 

アメリカも対中国貿易は赤字最大、しかも移転技術が中国の軍事力増強

につながる懸念や、中国企業の設計・意匠盗用による不正輸出問題など、

色々あって頭が痛い。 中国のWTO加盟をアメリカが支持 

 

したのは、巨大市場の開放を期待したからだったが、中国が目指すのは、

<抜きん出た大国> Super Power への道。 米中安全保障検討委員会

の報告書も、「同床異夢」と不安を隠さない。

 

そのアメリカへ家電の海爾(ハイアール)社が進出、サウスカロライナ

工場で大型冷蔵庫年産15万台。 <人件費10倍>でもそうするのは、

<大型>は品質本位で市場が厳しいから。 それを耐え抜いてブランド

の確立に結び付ける意図。

 

ハ社の張CEOは、「メードインチャイナは世界中溢れているが、一流

ブランドが無い。 国際競争力をつけ、海外に進出しなければ中国品の

強みは2年もすれば無くなってしまう。

 

海外から中国に入って来た一流品メーカーが、我々と同じ安い労働力を

用いて生産するようになるからだ。 技術やブランドで対抗できるよう

になっていなければ我々は生き残れない」と、危機感露わ。

 

*   *   *

 

張氏は党中央委員候補でもあるが、1984年ハ社工場長に就任、経営

不振だった同社を10年余りで国内有数のメーカーに育てた人。 まず

重視したのが品質管理の徹底、そのために厳しい能力主義を導入。

 

たとえば、不良回収商品の原因部品を<品質改善室>に集め、それぞれ

の設計担当技術者の顔写真入り台帳で各人別<負債>額を掲げる仕組み。

業績のマイナスを個人の報酬に反映させる必罰主義。

 

 この<改善室>が張氏のお気に入りとは少々クライが、実はサーモ屋

 も現場から出る<屑>にいつも目を凝らしていました。 工程改良の

 意欲が湧き、ヒントが掴めた。

 

*   *   *   *

 

張氏が重視したもう一つは顧客サービスの徹底。 全国に34のコール・

センターを置き、24時間体制で苦情や要望を承わる。 修理センター

は全国5千カ所、夜中でも即刻出動。 カラダ張ってますな。

 

コールセンターには係員の電話応対を常時チェックするベテランがおり、

勤務後、そのサンプリング録音を全員で聴く<品質分析会>を催す。

 

「迷惑をかけたのだから、最初にお詫びすべき」、「まず製品の機種を

訊くべき」、「応対が雑」、コメント続々。 「問題点が指摘できると

いうことは、同じ失敗が避けられるということ」。 全員の順位を公表、

<下位10%>は再訓練、または解雇。 キビシイ淘汰!

 

 サーモ屋の営業的電話応答は私の仕事でしたが、毎日テープに録って

 聴き直し、反省を重ねたものです。  <サービスの品質>は担当者

 を個別にシゴかないと向上しませんが、徹底している組織は少ない、、

 

張氏の危機感は<走出去>にも及び、「先駆者として責任を感じている。

我々が失敗すれば他社の進出意欲にも響く。 失敗は許されない」と。

 

ハ社運動会では3万人の大唱和、「我々はたゆまず努力する。 世界の

トップに向け、前進しよう!」。 そんな熱気がかつて我が国にもあり、

実際<追い付>きかけた。

 

その頃欧米人は日本に恐怖を感じたというが、今は中国が我々に恐怖を

感じさせる番。 その強い彼らにしてこの姿勢、なら、追われる我々が、

それより呑気でいて良いか?

 

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●番組後半はイランの首都

 

テヘランに地下鉄を輸出した話。 日本や韓国、欧州と競って勝った由。

しかも半分は中国が融資し、土木工事はイラン、車両と電気系統が中国、

の共同プロジェクト。 これも<走出去>の一つ。

 

以前は導入一方だった資本、技術、ノウハウを今や輸出する側に回って、

これは将来への布石。 即ちエネルギー消費大国となった中国への最大

原油供給国はイラン、中国は安定成長のためにエネルギー供給の安定が

必要。 そのためには、、 で地下鉄入札、大奮発したに違いない。

 

イラン商工会議所副会頭いわく、「中国は自分で判断し行動できる大国

です。 大国とは友好関係を保たねばなりません」。 アメリカの判断

に頼って首相すら<雰囲気>で動く我が国は即ち<小国>。 残念だが

<友好関係を保つべき相手>とは思ってもらえないようです。

 

 以前も<IJPC>で食い込みながら革命や戦争に阻まれ、イランに

 はツキが無い、と思っていたが、浅かった。 尊敬されてないんだ、、

 そしてこのたびはイラクとも、、 こりゃエネルギー危機、必然?

 

 

こうした中国の躍進を下支えしたのは<鉄面>朱前首相。 新聞報道に

よれば「人の機嫌を損ねることなど恐れない」決意で就任以来この5年、

命がけで体制の腐敗や浪費、非効率の排除に当たり、そのため

 

「骨の髄まで私を憎んでいる人がいる。 引退後、報復があるかも」の

由。 尋常の覚悟でないが、物価上昇率をひと桁に抑え、(任期中平均)

7.7% の高成長を達成。 批判や非難をものともせず、

 

「中国を現代国家、法治国家にしたい」で戦い抜き、先頃「評価は後世

に」と淡々去る。 が、解決できなかった農村問題では「所得が伸びず、

失業者が増えている」<と危機感を示した>、とも。

 

我が首相も似たような決意で就任したが、死を覚悟、とは聞いてないし、

そのせいか国力は低下するばかり。 なのに、危機感に満ちているとは

見えず、説明・説得さらに無し。 去る時も、、 丸<投げ>かな?

 

 ★中国人の恐るべきしたたかさ、対する我々の稚拙さ、手ぬるさ、に

  ついては、桜井よしこ著<日本の危機>(新潮社 1998年)第9章

  (p.115-128)などお読み下さい。 ゾッとなさるでしょう。 

 

  全21章のその本に網羅された我が国の抱える諸問題、出版以来の

  5年間に、解決どころか軽くもなっておらず、むしろ増大、深刻化。

  まさに<現状>過剰適応の<楽天家>国家、沈没必至ですぞ。

 

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●危機感を漂わせるのが

 

良い、と言っているのではありません。 が、目前の現実を直視すれば、

この国は、会社は、部署はこれほどの<危機>に在る、と<感>じない

わけには行くまい。 

 

そして Rational に考えれば、どんな<行動>が必要か、即ち<課題>、

が浮かぶ。 それは誰が処理<する>のか、あるいは<させる>のか?

いつまでに? どのように?、、 一人一人が<一隅を照ら>さにゃ。

 

 

取りあえず手の届く範囲の諸々を状況分析SAシートに書き出し、眺め

渡してみる。 どんな課題群があり、各課題にどんな優先度が施されて

いるか、その順に手を下して行けば状況は良くなりそうか、、、  

 

すべきことがすでに明確なら直ちに実行、ただしPPAを伴わせ、その

実現をより確実にする。 明確でないならDAで絞る。 DA以前なら、

PAして要素を洗い出す。 IS NOT から<手本>が見いだせるかも、、

 

いずれにしても、すべては実行のための衆知結集、合意形成。 それが

<Rational な危機感>の姿です。 そして、打つべき手はすべて打つ。

あとは楽観的に、、

                          ■竹島元一■

 

     ■今週の<私の写真集から>は ★良き時代★

 

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